2022年05月31日

ロヒール・ヴァン・デル・ウェイデン本 その5

Calvario Rogier madonna.jpg

Calvario Rogier St Jans.jpg

 イメージ、右は赤外線写真 でみた下絵。
 マドリード郊外のエスコリアルにあるロヒール  ファンデアワイデンの カルヴァリオこと磔刑図の修理のことを思い出した。
Dirk de Vosは、「残骸」と批評し、彼のロヒール総カタログには下絵の赤外線写真のみをあげているという徹底ぶりを示した。
しかしながら、みどころのある修復動画にみるように、なんとかプラドで修理修復を行ったようである。
    Restauracion El Calvario de Rogier van der Weyder
     https://youtu.be/54rSTENHnxo
 もともとが「残骸」状態だたのだから、ある程度の補筆はしょうがないというふうに考えるべきだろう。とにかく巨大な絵なので、修復作業の労力費用も半端なかっただろう。
 じゃあ、「残骸」が「名画」になったのだから、我々は21世紀作の偽物をみせられているのか?といえば、そうでもないように感じている。
    少なくとも当方が、修復後の実物に触れて念入りに鑑賞した限りでは、あまりひどいねつ造や追加は行われているようにはみえない。高さ3.2mもある巨大さに圧倒される。巧妙な修理のためか、その日の午後に比較のため鑑賞したプラドの十字架降架 と比べてもそうひどく見劣りがするとは思えなかった。当方は修理前をみてないのでなんともいえないが、数少ないロヒールの作品の中に、この大作をいれることを喜びとするものである。
  復元すべき色は、おそらく、フィラデルフィアのジョンソンコレクションのものを参考にしたのだろうと思う。
  プラドのモナ・リザの修復と並んで、名画を復活させた良い修復といえるのではないかと思う。


posted by 山科玲児 at 06:20| Comment(0) | 日記
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