2022年06月12日

西洋美術館 常設展 その2

Zurbaran Dominico Ueno.jpg
2020年07月12日 西洋美術館  スルバランを買う
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/187688178.html

で書いた 作品の実物を観た。
https://collection.nmwa.go.jp/P.2019-0001.html
  なぜ。このような大型の見事なスルバランの人物像を西洋美術館が獲得したのか? どうも不思議になるほどの名作だった。左下の犬の獰猛な牙や、ナチュラルホワイトの麻衣の感じなどまことに素晴らしい。


 西洋美術館は予算の運用面でも、米国の美術館に比べて相当不自由で、よいものが市場にでても、迅速には動けない。だから、オークションで良いものが出ても、業者をオークションの代理にたてるのが通例で、西洋美術館の責任者がオークションで落札するということはない。そういう手足を縛られたような状態でよくこのような作品を入手できたものだ、と思った。

実物を仔細にみてなんとなく感じたことだが、これはたぶん真作だろうし、優秀な作品だが、おそらく傷物なのかもしれない。

左上部分に妙に黒背景の色が違っている部分がある。影だろうとは思うが、なんとなく欠損にみえる。そして、右肩が妙に曖昧である。
 このキャンバスは周囲を補って大きくしているのは確かで、その点は西洋美術館も指摘している。こんな大きな絵画で、なぜそういう補いをしなければならなかったのか?どうも不思議だ。
  ひょっとしたら、これは更に大きな横長の大壁画で聖人が横に並ぶ群像だったものが痛んだので聖ドミニクスだけを切り抜いたものではなかろうか? 
ただ、布目は続いているように見えるので、ゲスのかんぐりかもしれない。
あるいは、周囲の画枠に近い部分に相当傷んだ部分があって、キャンバスを拡大しないと新たな画枠に貼れないというような事情があったのかもしれない。

http://www.artmuseums.go.jp/acquisition/nmwa_r01.pdf
公開されている購入価格は、
638,383,300円
タグ:西洋美術館
posted by 山科玲児 at 14:24| Comment(0) | 日記
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