芝崎みゆき氏の「古代エジプトうんちく図鑑」
を読んだとき、ヒエログリフを解読したシャンポリオンの話で興味深い一節がありました。最もやりたいことを人間はなぜか後回しにしてしまう。シャンポリオンもそうで、シュリーマンもそうだそうです。最大の目的をなおざりにして、その周辺のことばかり考える。あまりに重要なので、もし失敗したり失望したりすると自己へのダメージが大きい。だからこそ、あえて手をつけず逃げ回る。この性癖は「もっともやりたいこと」「2番以下にやりたいこと」の間だけでなく、各段階でおきる。「1番やりたいこと」より「2番目にやりたいこと」を「2番目にやりたいこと」より「3番目にやりたいこと」を、以下同様。こういう風にして果てしなくディスカードしていき、全く目標を見失ってしまいます。
7つの大罪の「怠惰」、「先延ばしの悪魔」です。最近特に実感しています。
7つの大罪の「怠惰」、「先延ばしの悪魔」です。最近特に実感しています。
4世紀の修道士:エウアグリオス・ポンティコスが書いた『修行論』に、エジプトの砂漠の修行者を誘惑する煩悩・悪魔が、8つ論じてある。「怠惰」「憤怒」「貪食」「虚栄心」「淫蕩」「傲慢」「金銭欲(強欲)」、「悲嘆」(これは7つの大罪には入っていない)
です。 これが「7つの大罪」の原形のようです。 その後、「嫉妬」が入って「虚栄心」がはずされたようである。エジプトの砂漠の修道士が陥りがちな誘惑からきているとしたら、いかにもそれらしい、と思ったものです。
この「怠惰」の解釈は エウアグリオス、ピーター・ブリューゲル、芝崎みゆき、で、いくらか違いがありますが、単純にダラダラ怠けること、ではないという点は共通しています。