2022年06月21日

ヒエロニムス・ボスのキャンバス画

2016 toledo Calle Comercio.JPG
スペインの古都トレドのコルメシオ通りの日除け

16世紀ごろ17世紀ごろのスペイン王室関係の財産目録を調査して、ヒエロニムス・ボッスの作品ということになっている項目を洗い出した研究が21年にすでにあった。
Pilar Silva Maroto, Bosch in Spain
Paul Vandenbroek.  The  Spanish inventories  reales and  Hieronimus  Bosch

2001  Boijmans Museum  Bosch特別展のとき出版された論文集に収録されている。
Museum Boijmans Van Beuningen, Rotterdam, Hieronymus Bosch. New Insights into his Life and Work, exhib. cat., ed. Jos Koldeweij, Bernard Vermet, and Barbera van Kordewiji, 2001,, LUIDON, Belgium,


その論文を読んで奇妙に思うののは、リネン・キャンバス使用の絵画が板絵よりずっと多いことである。しかもずっと安い評価になっている。板絵の半分以下の評価額になっている。十分の一以下というのもある。
  これはいったいどういうことなんだろうか?
  現在 伝世しているボス真作とされていたり議論されている作品では、キャンバス地の作品はまずない。キャンバスに移し替えした作品や後の時代の模写ならある。例えば快楽の園中央画面の模写(ブダペスト)はキャンバス地である。ただ、初期ネーデルランド絵画で、こういうキャンバス地の絵画の例が、わずかながら残っている。デイエルク・ブーツ(ロンドン ナショナル  ギャラリー)ジュスト オブ ゲント(メトロポリタン)。これらはかなり退色がひどい。

一方、ブリューゲルでは、イタリアの影響もあるのか何点もキャンバス画があり、ナポリ カピデモンデの2作品はかなり保存が良い。またブリューゲルの最大の作品はキャンバス地の「聖マルティンのワイン」(プラド)である。
ブリューゲルのころでは、もはやイタリア絵画の流行という背景を考えなければならないだろうが、ブーツ〜ボスのころのものは、ヴェネチアのキャンバス画とは少し違った性格の作品・商品ではなかったか?

スペインのリストの評価額の安さから考えて、タペストリーの代用品であり、かなりできの悪い模写的なおおざっぱな絵画、現在、欧州の祭りで使われる旗指物や山車の飾り、のようなものではなかったか?と推察したくなる。イメージのように野外でも使われたものもあるかもしれない。

フェデリコ・ゼーリ「イメージの裏側」、、にもヴェネチア派の旗を改造して、額縁にいれたらしい作品があげられていた(ref  240P)。

ref   フェデリーコ・ゼーリ「イメージの裏側−絵画の修復・鑑定・解釈」 (訳:大橋喜之)、八坂書房、2000年、


posted by 山科玲児 at 05:41| Comment(0) | 日記
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