今回の都美美術館のボストン美術館展
https://www.tobikan.jp/exhibition/2022_boston.html
にはちょっとした拾いものがあった。
伝)范寛 雪山楼閣図
https://collections.mfa.org/objects/28222
である。これは、はるか昔、横浜そごうでみたときは、それほど評価しなかったが、今回は覆いはかけてあるとはいえ、至近でみることができたので、ずいぶんと印象が違っている。
1997年10月に横浜で観たときのメモ::
> 照明・かけてある位置 ともに悪く、片膝たてないとちゃんと鑑賞できないありさまなのは 残念でした。細かいところはMuseum Scopeでさえみえない。そうとうすれてしまっているのだろう か?
>
まず、第一にこれは非常に破損がひどい絵画であるということだ。大欠損を補絹しているらしい部分が最上部にあるし、随所にある。また、すり切れて墨がおちてしまって図様がよくわからないところも多い。
下部の2人の人物が橋を渡っているが、顔は全くわからない。左上に滝があるがその水がどうやって右下に回るのかわからない。「楼閣」はたぶん正面にあるのだろうがボヤッとしていてわかりにくい。
これだけボヤっとしてるから雪山にみえるので実は冬の景色ではないのではないか?とさえ思うくらいである。損傷があまりにひどい部分を避けて観ると結構迫力のある佳作であり、昔横浜でみていたときより高く評価したい。ただ、右上部分はなんか元時代の李郭派のような気持ち悪い部分もあり、果たして北宋なのか疑いたくなるところもある。
もうひとつ 馬和之の詩経図である。
これは、もともと何巻もあって、その模写本が更に量産され、世界中に散っているものだが、京都の藤井有リン館本は良いものだとされている、このボストン本もまあ良いほうだろう。
横浜のときとは違って ケースが大きく、冒頭から末尾の文徴明、乾隆帝の跋まで全部広げてあった。