ボスがイタリア旅行したかどうかについては、前
2019年06月02日 尽く書を信ずれば則ち書無きに如かず
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/186083187.html
の後半で書いたような破綻した記述があったので、「馬鹿馬鹿しい」「イタリアにいって学ばないと一人前でないというイタリア至上主義の反映だ」と軽蔑していた。
しかし、1498年5月17日にス ヘルトーヘンボス市役所で作成された書類に、ボスがある期間不在であるか、遠くへ旅行する場合に作成される法律文書がある。
そうなると1500年というたぶん重要な年にローマに巡礼するということではないか?と想像したくなった。50歳前後だったロヒール・ファン・デア・ワイデンも1450年という聖年にローマに巡礼しているし、ボスのご近所さんのお金持ち、はなんと聖地パレスティナに巡礼している。
それを考えれば富裕であり地位もあった50歳前後のボスがローマ巡礼しても、それほどおかしくはないだろう。また、イタリアの影響が真作に無いという点はどうか。20代という若いころイタリア旅行したブリューゲルでさえ、シチリアのメッシーナまで旅行したわりには、イタリア絵画の影響は少ないという例があるのだから、成熟期を超えたボスの場合はもっと少ないだろう。