フレスコ画を描く技法の説明や実演のとき、
シノビアという赤で下絵を描いて、その上をフレスコ用の漆喰で塗りつぶす、その漆喰が半乾きのうちに、水で溶いた顔料で描く、と説明される。
また、ルネサンス時代のフレスコ画を剥がしたとき、下絵のシノビアがでてきた、という話もよくきく。
ただ、どうもわからなかったのは塗りつぶしてみえなくなるのに、下絵を描くとはこれいかに??意味ないじゃない、、それとも赤いから多少は見えるんだろうか??とこの点がどうも不審だった。
しかし、最近ようやく考え直した。実際のフレスコ画は大きいのだ。そして、それをジョルナータといわれる一日分だけ漆喰を塗って描く。つまりジョルナータの外の部分はシノビア状態でみえているのだ。こうすると周囲との連続性を考えたり、全体とのバランスを考えながら描くためには、シノビアが必要なんだろう。
また、カルトーネで顧客に見本制作を提示しているとはいえ、シノビア入れた段階で変更要求がくることもあるだろう。実際、ルネサンス時代の例で、シノビアと完成作が大きく異なることもある。
そうなるとシノビアを描くということは顧客へのサービスという意味もある。実際。この壁にこういう絵を描きますよ、という予告である。