2022年10月23日

ボス展のカタログを読む 43 2015年以前の本

Hippolyte de  Berthoz.jpg


プラドのボス展のカタログを精読していると、2014年ごろに大きな発見や、再発見があったのがわかる。従ってそれ以前の本、例えばステファン・フィッシャーの本やボージングの本はもはや役に立たない。

むしろ、広い資料を集めた1968年のチノッティのカタログ・レゾネをもとにしてそれに修正するかたちが、まだ良いのではないか? とかんがえている。

最近、多少翻訳しているのだが、論証を省いて、2,3の重要な結論だけ書いておく。


1.ウイーン美術アカデミーの「最後の審判」は、ブルゴーニュ公のシャルル突進公の財務官であったHippolyte de Berthoz(?-1503  イメージはブリュージュにある肖像)の注文であったことを2014年にKordeweijが発見した。

2.   リスボンの「聖アントニウスの誘惑 三連祭壇画」は、16世紀のポルトガルの人文主義者ダミアノ・デ・ゴイスの所蔵品であったと信じられて来た。しかし、2014年にわかったことは、1870年ごろにスペインから王立コレクションに入ったもので、ポルトガルにあったものではない。結局、BRCPチームは、Hippolyte de Berthozがボスに注文した作品だと議論した。

3. Hippolyte de Berthozは「快楽の園」の注文者ナッサウ伯エンゲルベールと並ぶボスのパトロンということになる。
posted by 山科玲児 at 15:39| Comment(0) | 日記
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