
東京国立博物館 アジア・ギャラリー(東洋館)の中国考古の展示に、いつでもいた大理石の怪獣彫刻(上写真は当方撮影)
ですが、これは戦後に香港から入ったもので、銀行家・収集家の陳仁濤(1906-1968)所蔵品でした(REF1)。REFをようやくみつけました。記憶には微かにあったんですけどね。
陳仁濤については、最近、香港クリスティーズや嘉徳のオークションで、旧蔵の書画がでているので、思い出してました。陳仁濤については、いろいろな話題がありまして、日本に関係した話も多い。少しずつ書いていこうかと思っています。
ちなみに、この玉石関係では、
陳仁濤 所蔵の古玉を50余点も昭和29年(1954年)9月4日〜10月10日、東京国立博物館の特別第1室での古玉展覧会に貸し出したということがあった(Ref2)。こういうことで、陳仁濤と関係ができて購入するというようなことになったのかもしれない。
ref1 梅原末治、中国古代彫像例の二三、大和文華、第9号、1953年3月
ref2 杉村丁、中国古玉の粋、国立博物館ニュース第88号. 1954年 9月 1日
以前に伺った話のうろ覚えでは、竹籠のようなものに入っていて、とても重かったとのことです。
自分の興味のために、いま一度取材に行ってきます。
もう一人、故人の関係者からは超有名画家(もちろん故人)との関係と、取引価格まで聞いております。
東博に入った経緯は聞いておりませんが、東博に入る以前の話です。
東博に入る前に日本でワンクッションあるのです。
美術品の流通には秘密の部分が多くて、明らかにすることはなかなか難しいですね。
>ふるだぬきさん
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この大理石彫像が東博に入る前に文化勲章受賞者の某画家が所蔵していたのは確かなようです。
陳仁濤からその画家に仲介したのは龍泉堂OBで、そのときの経緯は茶飲み話で何度か伺っておりました。
彫像が竹籠に入っていたと話していた元茶道具商のご隠居に話を聞いてきました。
ある日、所蔵していた画家から、これを含む三点の美術品の売却を依頼されたそうです。
そのうちの一点を某有名実業家が購入し、もう一点をこれまた誰もが知っている有名作家に納めたものの、彫像だけは高額で売れ残ったそうです。その後、売却を依頼された画家に彫像を返却して、東博には画家から直接売却されたとのことです。
元茶道具商は彫像が龍泉堂OBを経由していたことを知りませんでした。
実業家氏は既に一線から退いており、彫像の背中をを撫でながら残念そうにしていたとか。以前に龍泉堂OBから具体的な金額と金策のあれこれを聞いていたのでさもありなん。
そのとき実業家氏が購入した一点は陳仁濤旧蔵の玉器です。
作家が購入したのは中国絵画で、その後に別の文化勲章受賞画家の元に納まりました。
上記関係者が全員二十世紀に活躍した偉人とも言えるべき人物で、没後あるいは存命中に個人の美術コレクションに関わる展覧会が開催されています。一人は長崎県の出身ですよ。実名や作品名を書いたらおもしろかったのでしょうが今回はこんなところで。今の日本の実業家や文化人と言われる人たちが中国美術には、ほとんど無縁なのが寂しいですね。
ありがとうございました。珍しいお話ありがとうございます。
陳仁濤は大コレクターだったので、当然所蔵品にはムラがあったようです。それは既に書いておきました。この大理石像も、なぜ対称な形でないのか未だに不可解ですね。
>ふるだぬきさん
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