2023年03月12日

巻の異体字

大観帖6晩翠軒.jpg




  晩翠軒が刊行した大観帖残本のタイトルに妙な文字が入っている(上イメージ)。
「大観帖第六?」の?である。このせいで、ネットの表示でこの字が非表示になったりしていて困る。
これは「巻」の異体字である。上イメージの左にある翁方綱の隷書題にもこの変な字が使われているので、それをコピーして題簽に使ったんだろうが、書跡の題としちゃ、あまり適当ではない。書誌を書くときにもとても困る。
この文字は、

巻の異体字
https://glyphwiki.org/wiki/u38a7

としてユニコードにも入っているのだから、一応オーサライズされているんだろうが、収録文字の多い説文大字典にもでていなかった。大漢和には当然入っているのだろう。

一応、隷書風に書いているのだが、漢時代の例はないようで、

むしろ、南北朝時代の写経にでてくるようだ。下のはペテルブルクにある5世紀と思われる写経の末尾(法華経第一巻の末)である。また、更に鄭文公碑に用例があった。

どちらかというと南北朝時期に発明された字なんじゃなかろうか??
ペテルブルク 法華経1巻末.JPG




Cheng wen kung pei rubbing2.JPG
posted by 山科玲児 at 08:01| Comment(0) | 日記
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