2023年04月04日

臨河叙の信頼性

四部 世説 豪爽 det.jpg世説 豪爽  唐抄本 det2.jpg

世説新語 四部叢刊本と国宝:唐抄本 世説新書

臨河叙 は、世説新語(世説新書)企羨篇の注釈に引用されている文章であり、
国宝:唐抄本 世説新書は一部しか残っていないものなので企羨篇そのものが無い。

それで、他の比較できる部分で比較してみた。
上は豪爽篇の一部である。
粱の劉孝標注をこの2つで比べると大意は同じだが、細部は相当字句が違っている。それも注釈1つについて一つ以上の異同がある。
上イメージは、すぐ気がつくところをチェックしてみた。まだ少し相違はあるが指摘していない。高士伝の引用だから、臨河叙の代用としては適当だろう。版本はかなり省略圧縮していることがわかる。しかも、、四部叢刊書録の解説によると、他の版のように注釈に省略がない良版なんだそうだ。これでこの状態ですよ。

 そうすると、唐抄本の該当部分は存在しないとはいえ、臨河叙も、細部については、 粱のとき劉孝標が書いたものを、一字一句 伝えているというわけではないということがわかる。
 したがって、一字一字の使い方について、臨河叙と蘭亭序を比較するのは疑問である。

 それは臨河叙の「叙」の字が北宋末の蘇軾に由来する可能性が大きいというようなことや、 「崇山峻領」が「崇山峻嶺」になっているのが南宋以後の蘭亭序のテキストと同じであることなど、不審な点が多いことからも、いうことができる。

 おそらく、南宋時代に出版したときに使ったテキストは、かなり改変されたものではなかったろうか。
posted by 山科玲児 at 06:55| Comment(0) | 日記
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