2023年04月30日

羅振玉の題字


luo.jpg
羅振玉自伝を読んでいて、羅振玉の書として博文堂刊行影印の 清初の画家 キョウ賢 の山水画冊の題字をあげたくなった。

 これは、2010年に既に紹介したものである。
羅振玉の隷書
https://reijibook.exblog.jp/13184716/

 ところが、この題字、なんと今どこにあるかわからないのである。存在してるかどうかさえ不明だ。

山水画冊そのものは、米国カンサス・シティーのネルソン・アトキンス・ギャラリーにある。今はバラバラにして軸装されているようである。ところが、題字はなんと別の題字がセットになっている。しかも同じ羅振玉の書である。
https://art.nelson-atkins.org/objects/870/frontispiece-of-luo-zhenyu-later-commentator;jsessionid=8215F2F4AEFB1217B21BE935937799EC?ctx=2cd4792e-d9c7-4954-a08d-df81124425bc&idx=1
これはいったいどういうことなんだろう。

どうも、これもまた出版のために書いた題字であり、画冊そのものにつけられたわけではなかったもののようなのだ。

近代のコロタイプ影印では、こういうことがままあるようだ。
同じ博文堂出版の黄庭経の羅振玉題字もそうだった。
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/190049736.html

しばしばある呉昌碵の題字などもどうもそれらしく、書画本体についていないことも多い。そうなると、題字だけ、どこかに保存されているのかもしれない。

伊藤氏が、確か近藤雪竹が出版物のために書いた題字をもっていると、雑誌にかかれたことがあった。

一般の本でも題字を書道の心得のある人や尊敬する先輩に書いてもらうことは多いと思うのだが、その題字作品肉筆は、どこにいったのだろうか??
 案外、出版社や編集のところで粗末にあつかわれて消滅したものもあるのかもしれない。
posted by 山科玲児 at 09:47| Comment(0) | 日記
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