2023年05月12日

マティス展

マティス展 有料袋mod.jpg

マティス展
https://www.tobikan.jp/exhibition/2023_matisse.html
https://matisse2023.exhibit.jp/


2023年5月11日9:40−11:00
東京都美術館で鑑賞:入場時間指定券で。
それなりの人出。

マティスの特別展というのは、日本では珍しいようで20年ぶりだという。開催担当の選択フィルターはあるだろうが、こういう風に生涯の作品を一覧できることは嬉しい機会である。
写真撮影可と不可のものがあるのは戦時加算のためであろう。ただ、当方にはどうでもいいことだった。今回は足と手を捻挫していたためカメラももってきていないし、ギャラリーで長時間立ちっぱなしで鑑賞するほどの体力もなく危険を感じていたからだ。絵画のマチエール、肌合い、だけをみようという訪問である。
 ポンピドー・センターからのローンが大部分である。パリ訪問のときは、ルーブル、クリューニー、ギュメ、ジャックマール・アンドレ訪問などで忙殺されて、ポンピドーは外観を嘆賞するのみというのを繰り返していたのでありがたかった。
  作品については、まず「読書する女性」(1895)であるが、ハンマースホイと印象が近いことに驚いた。ずっと華やかであるが、同じ精神の産物である。マティスの出発点が象徴派であることをまず痛感したものだ。そういや、ギュスターブ・モローが先生だったそうだ。この鍵でみると、後年の作品も理解しやすい。アラゴンの肖像も描いているのに、キュビスム・シュルレアリスムをすっ飛ばしてポップ・アートにいったような感じがするのはそのせいかもしれない。

 キュビスム風の作品にすらハンマースホイ・あるいはベルギー象徴派の影を感じる。

  《赤の大きな室内》1948年の下部の動物は動物の敷皮らしいが、なにか生きているようにみえる。

 また、彫刻(鋳造)ではヴォリュームを大切にしているようで、「アンリットU」などはマイヨールや流政之を連想させる。背中TUVWもロダンよりずっとマイヨール風である。

 もうひとつ面白かったのは、素描で「墨」を使ったものがよりできが良いように感じたことだ。
 晩年、切り紙作品が多くなったのは健康のせいだという説だが、そうともいえないのではないか? 十分新生面を出していると思う。 これによって、優れたデザイン・ポップ・アートを多数生み出しており、早い話、ミュージアム・グッズも楽しいものが多い。ただ発色がいまいちなものがあった。この切り紙の色彩は、やはり油彩より退色し易いだろうから、なんとか保存に注意したりデジタル的保存が必要になるかもしれない。
 最後のヴァンスのロザリオ礼拝堂はNHKの子会社の仕事のようだが、NHKにしてはよけいな付加がなく、良い仕事だと思う。

 売店では、良い発色のクリアファイルを買ったが、売店の袋にも特別製50円(イメージ)というのがあって、これがとても素晴らしい。何も買わないで袋だけ買うというわけにはいかないかもしれないが、これはゲットする価値があると思う。

マチスの人生には病苦はあったが、ピカソのように黒いところがみえず、素直に楽しめるところが良い。
 後半生つれそった夫人がスラブ系の人でマネージャーでもあったというのが、ダリ夫人を思わせるところがある。
タグ:マティス展
posted by 山科玲児 at 07:38| Comment(2) | 日記
この記事へのコメント
私としてはマティスといえば、シチューキンのコレクションなくして語れないと思っています。
シチューキンのコレクションはご覧になりましたか?
Posted by ふるだぬき at 2023年05月14日 19:13
プーシキン美術館作品が日本にきたときになにか観た気はしましたが、全く記憶に残っておりませんので、言及できないのが残念ですね。ピカソよりマティスには、ずっと好感をもっています。

>ふるだぬきさん
>
>私としてはマティスといえば、シチューキンのコレクションなくして語れないと思っています。
>シチューキンのコレクションはご覧になりましたか?
Posted by 山科玲児 at 2023年05月15日 07:29
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