2011年11月19日

ニュートリノが超光速?(訂正あり)

ニュートリノが超光速という不思議な実験の再試がスイスのCERNで行われ、やはり超光速と結果がでたようだ。

日本の新聞では、記者の無能さから誤解を生むような報道が多いので
natureのまともな記事を、、
http://blogs.nature.com/news/2011/11/neutrino_experiment_affirms_fa.html

>多くの物理学者は依然懐疑的である

と書いてある。まあそうだろうなあ。

日本のマスコミの例では、 読売のこの記事では
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111118-00001237-yom-sci
>ニュートリノのビームの長さを前回の3000分の1以下に短くし、より正確に速度を測定できるように工夫した。

 というのが非常にわかりにくい。ビームの長さ?って300kmじゃなかったっけ??
 ビームとかいうからおかしくなるので、この場合は、ニュートリノのパルス(瞬間的に出る高エネルギーニュートリノの塊)である。

誤>パルスの長さが長いと、実験装置はパルスの始めと終わりは区別できないので、その長さ程度の誤差がでる。

より正しい>パルスを発生させる場所をできるだけ小さくすることで、ニュートリノ発生時間のばらつきを小さくしたようだ。パルス自体も短くなる。

列車編成が長いと駅を通過した時刻がある範囲以下にはならないようなものである。それを短く小さくしたということである。

 こういう実験では、全く別の装置で追試したほうがいい。昔昔、ウェーバーの重力波検出実験というのがあって、すわ重力波検出か?と色めき立ったものだが、ウェーバーの装置以外、他の装置では検出できなかったこともあった。まずシカゴのフェルミ研究所MINOSでやるのが妥当だろう。筑波は地震被害から充分回復していない。もともとMINOSでの実験でも超光速らしい結果はでていたのだが、実験誤差の範囲内なので「ジョーク、ジョーク」になってしまっていた。

 なお、このCERNのOPERA実験は、もともと超光速を期待してやったものではぜんぜんない。ニュートリノの質量を測る実験である。質量があれば当然光速より遅く動く。どれだけ遅いか測定すれば質量の見積もりができる。という実験で、実験そのものも、ニュートリノ振動の測定というメイン実験のついでにおこなった派生的などうでもいい?? 大学院生にやらせ博士論文のネタにするような実験だったらしい。

  それが、なぜか超高速がでてしまったので、俄に大チームを組んで精密にやることになったわけである。
その内幕は、ここで披露されている。私が名古屋大学で習った丹羽公雄先生って、共同執筆者署名を拒否されたんだね。節度のあるもっともな態度だと思います。
http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:p7KTDZwiEykJ:https://aspara.asahi.com/blog/science/entry/KHttTRk2ZS+OPERA%E5%AE%9F%E9%A8%93+%E9%99%A2%E7%94%9F&cd=1&hl=ja&ct=clnk&gl=jp
posted by 山科玲児 at 08:03| Comment(0) | 2011年日記
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