たぶん1996年に発売後数年以内に東京のHMVで買って、ずっと愛聴しているのだが、この、ピエール・ド ラ・リュー(1460-1518) ( Pierre de la Rue )の 聖アンナのミサ はまことに不思議な曲だ。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/869373
このころ(十五世紀末)の曲といったら、だいたいメランコリックな短調風のメロディが多いのだが、これはなんと「ヘ長調」なんだ。
あくまでも晴朗で、モーツアルトの声楽曲を思わせる。勿論 メロディ自体にはモーツアルト的ウィーン的なものはないのだが、同時代の多数の声楽曲、更にラリュー自身の多数の曲と比較しても全く異なる。ひょっとしたら偽作、なにかの間違いではないか?と思うくらいである。ただ、ラリューはハプスブルク家の宮廷音楽家だったので、写本がまとめて残っている。同時代の他の作曲家よりは文献的にはよくわかっているほうなだけに、まことに不思議だ。
他の団体の演奏も聴いてみたいのだが、今のところ、このCDしか知らない。CDに収録されてるエレミア哀歌は、ほとんど聴かず聖アンナミサばかり聴いている。
これは、他の団体にも、もっと演奏して欲しい曲である。
晴朗なミサ曲を聴きたいときにときに取り出してみるのだが、最近でも安く入手できるようなので、紹介してみることにした。