2013年04月20日
財政破綻論の破綻
国家は破綻する――金融危機の800年:
http://www.amazon.co.jp/dp/4822248429
という分厚い本を書いたメリーランド大学のカーメン・M ラインハート教授とハーバード大学のケネス・S ロゴフ教授(C. Reinhart K. Rogoff)の重要な論文に大きな誤りがあったというニュースが流れている。
結局、両教授が4月17日ごろに謝罪したという騒ぎになった。
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR201304180097.html
http://jp.reuters.com/article/jp_eurocrisis/idJPTYE93H04720130418
発端は、2010年の論文「Growth in a time of Debt」で、「政府債務が対GDP比で90%を超えていた国の平均成長率は、急減してマイナスになった」と主張していた。
この内容は、国際経済の議論、ユーロ危機、米国の財政の崖などの議論にも引用され、ワシントンポストなども引用したものである。
また、「国家は破綻する――金融危機の800年」は経済ブログにも、権威のある本として、紹介されることが多い。
例:: http://blog.livedoor.jp/nnnhhhkkk/archives/65642620.html
http://agora-web.jp/archives/1260079.html
ところが、最近、マサシューセッツ アマースト大学で、再検証したところ、大きな間違いというより、おそるべき歪曲・情報操作があることがわかったという。
アマースト大学の原論文は読んでいないのだが、良いサマリーだとノーベル賞学者クルーグマンが賞賛した解説がある。
Researchers Finally Replicated Reinhart-Rogoff, and There Are Serious Problems
http://www.nextnewdeal.net/rortybomb/researchers-finally-replicated-reinhart-rogoff-and-there-are-serious-problems
これの一番ひどいところを直訳すると、、
>彼らは3つのことを発見した。
第一、ラインハートとロゴフは「大きな政府債務と平均的な成長」である年のデータを選んで除いた。
第二、各国のデータについて、「議論のある」重みつけをした。
第三、「大きな政府債務と平均的な成長をしている国々」を除くようなコーディングエラーをした。
>
なんのことはない、「統計でウソをつく方法」ではないか。
地球温暖化詐欺 クライメートゲート でも使用された 詐欺の手法である。
AusterityGate(緊縮財政ゲート)と揶揄する人もでてくるありさまである。
有名大学の教授という権威に、G7まで騙されていたのか? いやむしろ、地球温暖化詐欺と同様に、研究費をだして、グローバル企業などに有利な論文を書かせたのかもしれない?
こういう学者の本を後生大事に奉っている日本の評論家・経済人・政治家はどうかしている。
posted by 山科玲児 at 09:31| Comment(0)
| 2013年日記
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