2017年06月12日

宮ア市定と濱田耕作

論語の新しい読み方IMG_6758.JPG



宮ア市定先生の
論語の新しい読み方
http://www.amazon.co.jp/dp/4006000227
は、最初に岩波の宣伝誌「図書」に連載されたもので、その切り抜きが上イメージである。偶然古書展で100円?で買ったので紹介しておく。
この論語の新しい読み方 はとても面白い講義で、後に宮ア版「論語」の端緒となったものだが、中にこういう話がある。

京大の濱田耕作という考古学の先生がこう言ったというのである。
 「西洋の横文字の本は読めばよくわかる。だから読んでいるとだんだん頭がよくなるような気がする。いや、読まないでも横文字の本を書棚へ並べて、それを見ているだけでも、何だか頭がよくなる気がする。ところが漢文というものは実に分からないものだ。漢文は読めば読むほどわからなくなる。それを無理にわかろうと思って読むと頭が悪くなる。その証拠には支那の学問をしている学者というのはたいてい頭が悪い。お前たちはそうなるな」

  なんか、夏目漱石「吾輩は猫である」の苦沙弥先生や 大正昭和時代の西洋崇拝を思わせる話だ。現在のように、普通に西洋人と英語で議論するのがあたりまえになっていると、是々非々でやらないととんでもないことになる。 また、横文字の本でもトンデモ本は山のようにある。これでは、上のような教えは通用しにくいだろう。


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2017年06月11日

ブリューゲルと細密画【増補】

Farnese Hours folio 104verso.jpgFarnese Hours folio 105rect.jpg

【増補】モルガン図書館サイトで閲覧して、増補しました。

ブリューゲルとローマの画家  クロヴィオとの関係を探っていたら、妙なサイトをみつけ、不思議なものをみつけた。
El olivo en flor Clovio

それが、上記のイメージである。装飾写本の中の挿絵で各絵の幅8−9cmぐらい、2枚続きの見開き20cm(間隙含む)ぐらいの小さなものである。

これは、風景のなかのバベルの塔だよね。

  頁全体は、、高さ17cm 幅11cm、見開きで22cm
  第104葉裏+第105葉表(104v, 105r)

Farnese Hours0.jpg

さらに、第107葉表(107rect)は、全部がもろバベルの塔の絵だ。

Farnese Hours folio 107rect.jpg


 この写本は1546年にローマでクロヴィオが完成したことになっている。このクロヴィオは、ローマにきたピーターブリューゲルを歓迎し共同制作までやっている人だ。ただ、この1546年時点では、ブリューゲルは、ベルギーにいてまだイタリアに来ていない。とすると、ブリューゲルのバベルの塔の図像はクロヴィオから得たものなんだろうか? ただ、現存のブリューゲルの版画 素描、油彩、テンペラの中で、イタリア旅行直後のバベルの塔作品はないのが、少し不審な点である。

  実のところ、最初の横長の絵をみて、クロヴィオ作の装飾写本に入っているのをみて、ブリューゲルが共同制作したものか?  と想像したのだが、年代が合わない。しかし、どうみてもフランドル風:パティニール風の絵でブリューゲルの初期といわれる「種まく人のいる風景」(米国  サンディエゴ)やいろいろいわれる「イカルスの墜落のある風景」(ブラッセル)などとも良く似ている。ただ、2番目の大きなバベルの塔はフランドルというよりはイタリア風味に寄っている。 

  そうすると、クロヴィオの工房には、ブリューゲル以前にフランドル人の細密画家がいて、それがいなくなったので、なおさらブリューゲルが歓迎されたのだろうか?? 年代さえあえばブリューゲルに押しつけたいところである。装飾写本は何十年もかかって何人もの画家によって受け継がれ制作されることも多いので、そういう抜け道もあるかもしれない。

 この装飾写本には、まだたくさんの初期ブリューゲル風の絵が入っている。1例を挙げると次のようなものである。

Farnese Hours folio 66verso.jpg


 この装飾写本は、ニューヨークのモルガン図書館にある ファルネーゼ時祷書である。装飾写本としては結構有名なものである。装飾写本 時祷書の代表的なものを集めた図録
     J. Harthan, Books  of Hours  and their Owners, 1977, Thumes  and Hudson
にものっているが、こういうフランドル風風景画が入っていたとは驚きだ。

 年代があうもので、昔から有名なのは、やはりクロヴィオが制作した豪華な装飾祈祷書写本で
ニューヨーク 公共図書館にある。
 Towneley Lectionary New  York Public Museum, Ms. 81  Fol 23
   http://exhibitions.nypl.org/threefaiths/node/41?nref=42&key=2
   この写本は高さ50cmと結構大きな本だが、この中の最期の審判の大きな1頁全面挿絵の下に小さな「嵐のなかの船団」が描いてある。これは1550年代の作品らしいので、ブリューゲルの協力か??と昔からいわれているものである。現在は否定する声が多いようだが理由はわからない。

  これらの装飾写本とブリューゲルとの関係は、
トルネイが1965年に、ブリューゲルのイタリア旅行時代の細密画を発見したと、英国発行のバーリントンマガジンで論文発表していたもののようである。

Charles de Tolnay. “Newly Discovered Miniatures by Pieter Bruegel the Elder.” Burlington Magazine  107 (1965), pp. 110-14

   このころ、トルネイはアメリカに移民していたので、ニューヨークの写本にはアクセスしやすかったのだろう。それにしても、昔の学者が、やってしまっていることは結構多いわけで、先をこされた感はある。だから、研究史ってのはチェックしておかないとね。嫉妬はともかく、トルネイのこの発見はもう一度蒸し返して新しい視点から検討してもいいのではないか??と思う。

 ボイマンスのバベルの塔は、極端なくらいの細密画である。このような指向性は、もともとブリューゲルが装飾写本画家 細密画家として出発したからではなかろうか? ファンアイクもそうだったようだ。 その逆に、大きな絵を描いた人が後年に細密画家的になるというのはちょっと考えられないからである。


 

posted by 山科玲児 at 11:40| Comment(0) | 日記

クラナーハ模写だった



bosch Last judgement Vienna2.jpg

 昨年の2つのボス展にちなんで、ボス作品のアニメーション化や二次創作はかなり行われていたようだが、
 Hieronymus Bosch - The Last Judgment, c. 1500-05 (Animated) - YouTube
 https://www.youtube.com/watch?v=W4_2eoUmcOQ
 は、もとにした絵がウイーンにある有名な絵じゃなくて、ベルリンにあるクラーナハ模写だった。

  アダムとイブや天使の顔や髪型が全然違うので直ぐ分かる。
イメージは左がウイーン、右がクラナーハ模写とされるベルリン

   Last Judgement Berlin
    Paradise Lost
    http://lucascranach.org/DE_smbGG_563c
 なんで、間違ったのかなあ?? それとも、なんらかの別の意図があるのだろうか。

posted by 山科玲児 at 08:15| Comment(0) | 日記

2017年06月10日

ブリューゲル版画のバカラオ

Breugel Prints   bacalao.jpg


ブリューゲルの版画のカタログレゾネを読んでいたら、干し鱈(バカラオ)を槌(木槌?金槌?)で割っているところをみつけました。(上イメージ)、 版画「貧しい台所」の左下部分です。

  今でもよくこのバカラオが食べられているのはスペインやポルトガルですが、この干しタラはガチガチの干物になっているので、凶器にできるくらい堅くて丈夫なものらしいです。

  これを24時間ぐらいで冷水で戻して塩抜きするものらしいですが、大きなタラでは壺にはいらないでしょうから割っているのだと思います。

現地ツアー旅行社もやってる「スペインの扉」さんが、
をご紹介されています。
Casa Labraの公式サイト
http://www.casalabra.es/en/
ここも、たぶん干し鱈を戻して使っているんだろうなあ。日本人が書いたスペイン ポルトガル料理の料理書では「甘塩タラ」を使うことを薦めています。

このバカラオ(バカリャウ(ポルトガル語)) マカオのポルトガル料理屋でも、食べられるようですね。ただ、中国人のセンスでは小さくみえるようです。

TripAdviser マカオのソルマーのタラコロッケは小さい
https://www.tripadvisor.com.tw/LocationPhotoDirectLink-g664891-d1217707-i84601556-Solmar-Macau.html


posted by 山科玲児 at 09:40| Comment(0) | 日記

2017年06月09日

ファッション誌ヴォーグと米大統領選挙


去年の米大統領選挙では、いわゆる米国のセレブ  タレント  有名人がこぞって
クリントンを応援した。

その一翼だろうが、ファッション誌  ヴォーグの名物編集長  アナ  ウインターもクリントン支持を
ヴォーグでやって、顰蹙をかったようだ。

このアナ  ウインターは
映画「メットガラ(The First Monday in May)」
http://metgala-movie.com/
の重要人物でもある。

このヴォーグの件について、
偶然観た  有本香と木坂麻衣子の対談が面白かったので紹介する。
URLの39分17秒以降である。
このチャンネルの動画には賛成できない政治的意見も多いが、ここは、とても面白かった。
https://www.youtube.com/watch?v=Zc0DH1TRsWo


posted by 山科玲児 at 08:24| Comment(0) | 日記

2017年06月08日

15世紀ブリュージュでの個人的ミサ曲演奏 動画

Obrecht PratensisB Missae Sancto Donatiano.JPG


  ちょっと面識があった、ルネサンス音楽の声楽アンサンブル:カペラ プラテンシスのDVDを日曜に出してきてつまみ食い的にPC+ヘッドフォンアンプ+ヘッドフォンで聴くつもりで始めた。そしたら、ひきこまれてしまい最後まで視聴してしまった。意外にもコーラスより司祭や助祭の式次第や動作、言葉のほうが引き込まれた。やはり何百年もやってるカトリックの儀式の力は侮れない。第二バチカン公会議以後にラテン語でのミサが少なくなり各国語でやるようになったのは良かったのかどうか?と思い直したものだ。
このDVDのサワリが動画として公開されている。
Cappella Pratensis - Josquin in Rome - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=1Xw2_eqjC5c
十五世紀 1487年ごろのブリュージュで、有力市民の未亡人が追善のミサにいくという設定で再現されている。ロケはブリュージュの聖ヤコブ教会で、私も入ったことがある。実はカペラ プラテンシスのメンバーと話したことがあるのは、この聖ヤコブ教会でのリハーサルのときだった。面白いのはコーラスが司祭たちとは反対の方向をむいて歌っていることである。古い絵にもこういうのがあるから、やはりそうなのかな。祭壇に広げられているのは、
Pieta Triptych - Master of the Saint Lucy Legend  Museo Thyssen-Bornemisza
https://www.museothyssen.org/en/collection/artists/master-saint-lucy-legend/pieta-triptych
たぶん複製だろうと思う。
ブリュージュ風景は下イメージのような感じ::
brugge 2001.JPG


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2017年06月07日

九州国立博物館でラスコー展

ラスコー (2).JPGラスコー (1).JPG


九州国立博物館で、夏休み企画にふさわしい、ラスコー展があるようだ。
http://www.kyuhaku.jp/exhibition/exhibition_s48.html
7月11日〜9月3日
ラスコー洞窟の見取り図
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Lascaux_plan.jpg
をみると、割と1直線の洞窟だがそれなりに区切りもあるようだ。

ラスコーやアルタミラ洞窟って、現地へいっても入れなくて、レプリカをみせられて帰ってくるということだから、日本でみるほうがいいのではないかしら。

マドリードの考古博物館の庭で、アルタミラの壁画レプリカを観たとき、結構よかったので、このラスコー展も悪くないとおもいますよ。 なんか伊勢志摩のスペイン村にもアルタミラのレプリカがあるそうだけどスペイン村にはいったことはない。



 
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2017年06月06日

古代の庭園


造園書のことを書いたので

日本の古代庭園 遺構をいろいろ見て回ったことがあったので、写真をあげてみます。

平泉の毛越寺 庭園
毛越寺庭園.jpg


同じく平泉の 観自在王院 庭園 遺構 (発掘  復元)

平泉  観自在王院.JPG


奈良の柳生の円成寺 庭園

柳生円成寺IMG0052 (1).jpg


奈良市の中央部、興福寺  大乗院 庭園(近年の大幅修復でここまできれいになりました)

大乗院庭園mage2.jpg
posted by 山科玲児 at 12:01| Comment(0) | 日記

古代の造園の本

庭師が読み解く作庭記  山水.JPG


 日本庭園を作庭するための本 造園の本の古典に、平安時代後期と推定されている作庭記、室町時代ですが、古代の僧院の庭園伝統を継ぐ挿絵入り本:山水并野形図 があります。
 実は写本の図版複製はもっていたんですが、なにしろ難解でなんのこといってるかわからないことが多い。作庭記なんか「世界最古の造園マニュアル」とさえ賞賛されているらしいのですが、読めないものは読めない。

 ただ、山水并野形図の挿絵(下イメージ)は古朴、古風でなんとなく気になっていたので写本の図版複製本をてもとに置いています。
   
     SOURCE REF. 山水並野形図・作庭記
(造園古書叢書),  上原敬二   (著)    加島書店 (1982/05)

 今回、現役の庭師 造園家の方がこの2つの古典を丁寧に図版を多数使って読み解いた本が、出版されてました。 なんとか読めるようになったという感じです。この本結構貴重かもしれません。

図解 庭師が読みとく作庭記・山水并野形図
小埜 雅章 (著) 

単行本(ソフトカバー): 268ページ
出版社: 学芸出版社 (2016/10/26)
言語: 日本語
ISBN-10: 4761526343

山水並びに  (2).JPG


山水並びに野形図.JPG
posted by 山科玲児 at 08:04| Comment(0) | 日記

2017年06月05日

一青妙と二・二八事件


タレント:一青妙&一青窈姉妹の祖父は、あの二・二八事件で逮捕され、広大な土地を献上して、なんとか釈放されたという経歴の持ち主で、家訓として「政治に関わらない」としていたそうである。

一青妙氏が、ビジネス誌のネット記事で投稿しているのを読んで、感慨があった。

一青妙が明かす、台湾五大家族「顔家」没落の真相(一青 妙)  現代ビジネス  講談社

1984年ごろ、台北に旅したころも「政治の話題はしてはならない」と言われたものであった。
posted by 山科玲児 at 07:32| Comment(0) | 日記