2016年07月09日

ボス展のカタログを読む その2

Bosch Prado 2016.JPG

2016年06月21日
ボス展のカタログを読む
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/175768488.html
を書きましたが、特に冒頭の プラド美術館の学芸員 Pilar Silva Marotoおばさんの論説は実に読ませます。おばさんとしか言いようがない風貌の方です。
   https://www.youtube.com/watch?v=PrYHhCMqV_8

  これは、博識でしかも論争的な優れた論説で、いろんな新しい情報を得ることができました。翻訳してみたくなるぐらいです。ただ大判で60P以上びっしりあるから、無理かな。
  この方はBRCP(Bosch Research and Conservation Project)メンバーに入ってはいるようですが、BRCPのカタログレゾネにはかなり批判的なようです。

  大判で60P以上もあるものなので、まだ、読破してはいないのですが、つまみぐいで何回かにわけてコメントしてみたいと思います。

 まず、ボスの家族は6世代に及ぶ画家一族で、ボスは4代目にあたるということに驚きました。これは、孤立した孤独な天才画家が田舎の地方都市に埋もれて制作しているというイメージとは全く違います。しかも、先祖は、もともとニーメーヘンから来たというではありませんか? ニーメーヘンというとランブール兄弟やファンアイク兄弟の出身地で、まさに初期フランドル画家たちがここから湧きだしているような地方です。どうも私は、彼らの間にはなんらかの姻戚関係があったのではないか?とにらんでおります。

 この論説ではないのですが、5番目の解説、Fernando ChekaのThe Fire and the Owlという、スペインにおけるボス作品の伝世・受容を解説した文章に驚くべき記述がありました。

「1539年にドンナ メンシャ( Mecia de Mendoza y Fonsecha(1508-1554))は、乾草車のコピーを注文した。前の同じ祭壇画が壊れたためである。」

  えぇぇぇ、「乾草車」は、ボスが逝去して23年後の1539年ごろには、そんなに注文で、はいいっちょあがりとコピーが生産されていたものだったの?? しかし、いったい誰に注文したのだろう。ボスの甥がやっていたかもしれない工房にであろうか??それとも、ブラッセルやアントワープの画家のところにであろうか??当時はダビッドもいないしマッシスも、スペインで活躍したジュアン=フランダースも逝去している、ヤン=マイデンとかかな?? まあ、このドンナ メンシャは、あの「快楽の園」を持っていたヘンドリック3世の奥さんで、この当時まだブラッセルのコーデンブルグ宮にいたんだろうから、スペインから注文したわけではないので、そんな無茶なことではないのかもしれないが、なんか家具が壊れたから代替品をというようなノリですねえ。
 その後、ドンナ メンシャはスペインへ帰り、ヴァレンシアに葬られるのだが、そこにもボスのことが少しばかり関係している。


 


posted by 山科玲児 at 18:05| Comment(0) | 2016年日記

弦楽トリオでのゴールドベルク変奏曲 その3


2015年01月16日に
弦楽トリオでのゴールドベルク変奏曲 その2
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/112199135.html
というので、色々紹介したが、
最近
ゴールドベルク変奏曲の新しい弦楽3重奏編曲をみつけた。

Bach Goldberg Variations for String Trio (BWV 988)


イタリアのボローニャでの演奏、ボローニャの団体らしい。

編曲した人は演奏者のなかにはいないようだが、たぶんボローニャの人ではないか。
ボローニャはコレルリ以前から音楽アカデミーで有名であり、モーツアルトもボローニャのマルチーニ神父について作曲技法を学んだ。
 有名なロシア人ドミトリー=シトコヴェツキー編曲の編曲に比べて、かなり丸い、和声的な感じがする。各声部の対立を強調するより各西武の音が一緒に和声を響かせるところに留意した編曲のようである。
posted by 山科玲児 at 10:37| Comment(0) | 2016年日記

2016年07月08日

オウム真理教 擁護のTBS社員が長野で参院 立候補??

 私は、東京の地下鉄サリン事件のとき、あやうくあの日比谷線に乗るところだった。一便しか違わなかったと記憶している。
 早く出社するという忠誠心がまるでなかったので、命が助かったのだ。そうでなければ、少なくとも茅場町駅で大惨事に遭遇していたはずである。

そのオウムの松本サリン事件のとき、無実の会社員をTVで糾弾した TBS社員

さらに、坂本弁護士一家皆殺し事件のとき、TBSは「ビデオをみせていない」と全否定した当事者
がこともあろうに、松本サリン事件の現場の長野で参議院選挙に立候補だって????

冗談でしょう?

もとTBS  杉尾秀哉

恥知らず、人間じゃない、




posted by 山科玲児 at 22:49| Comment(0) | 2016年日記

バングラディッシュで第2のテロ

昨日、
バングラディッシュ北東部のSholakia という河川敷で、ラマダン明けに二十万人が集まって礼拝する催しに、テロリストが爆弾と銃器をもって侵入しようとして、入り口の学校で警備していた警官と爆弾 火炎瓶、銃器で衝突、双方に死傷者がでた。


 日本での記事では、何が何だか解らない記事になっていたので、英文記事からまとめました。まったく日本のマスコミはの記者は英語も読めないのか??  劣化しているなあ。。

 学校は単に警察が警備拠点に使っていただけで、学校がテロ目標だったわけではありません。二十万人の礼拝催しは野外で行われるもので、その入り口で警備していたというわけですね。

バングラデシュでのダーイッシュ活動が活発化しているようです。

 百五十人以上、若者(たぶん裕福な家庭の)が行方不明になるなんて、オウム真理教のやりかたを思い出させますね。


posted by 山科玲児 at 08:39| Comment(0) | 2016年日記

2016年07月07日

サインなし

Bosch Prado 2016.JPG建仁寺・風神雷神図 (2).JPG



  超有名な絵画ほど 、サインのないものが多い。
 最近、遅まきながら再認識したのが、プラド美術館の至宝、ヒエロニムス=ボスの快楽の園(左イメージはボス展のカタログ表紙で快楽の園の部分を使用している)にはサインがないのだ。

 というより、快楽の園の画家として ヒエロニムス=ボスの名前が古文献から引き出されたわけで、もしこの絵画や数点の傑作がなければ、ヒエロニムス=ボスの名前自体、歴史から忘却消滅していただろう。

 そういえば、日本の俵屋宗達の風神雷神図屏風(右イメージは風神部分)にもサインも印章もない。まっさらである。それでも誰も俵屋宗達の作品であることを疑わない。

 これもまた文献や他の作品、模写本などとの比較から、俵屋宗達という名前が歴史のなかから引き出されてきたのである。

  一方、壁画なんかは、19世紀以前ならあまり動かないので、ヴァチカンのミケランジェロ、のシスチナ礼拝堂壁画について、ミケランジェロ作を疑う人はいない。サインなどありませんが。。

 古画をみるとき、サイン印章をうるさく言う人も多いし、確かに有効な手段ではあるのだが、それだけに頼ることは考え物である。

posted by 山科玲児 at 07:46| Comment(0) | 2016年日記

2016年07月06日

内側からみた福島原発事故

死の淵をみた男.JPG


2014年10月26日に
死の淵をみた男
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/104921931.html

という記事を書き、

「死の淵をみた男」
  http://www.amazon.co.jp/dp/4569808352
門田 隆将

の書評をしたが、

青山繁晴候補への卑劣下劣な週刊文春の選挙妨害に関して もう一度、この本をとり、感想を追加する。

ノンフィクションだが、小説家らしく少し筆が走りすぎたところもある。特に最終章。

ただ、この本の特色は、
「内側からみた福島原発事故」というところにあると思う。免震重要棟と官邸が中心で、その外側での動きは、かなり省略されている。
だから、東京都レスキューの活躍もあの生コン注入車を使った注水が効果を上げた事実も無視されている。保安院とマスコミの醜態も、避難の混乱もほとんど書かれていない。また、四号機プールの天佑としか言いようのない幸運についても書かれていない。あくまで吉田所長とスタッフの視界を中心に記述されている。

その代わり、福島原発一号の内部の、外部からは、ほとんどうかがうことのできなかった細部を知ることが出来る得がたい本だ。

面白いのは、その後、ムチャクチャに非難された斑目原子力安全委員会委員長ですら、結構公平にあつかわれている。デタラメ春樹と罵倒されたかなり人格としては問題のあるこの人でも公平に発言を採用されているのだ。
菅直人 元総理 も公平に発言が記録紹介されている。そういう点では意外なほど公平な本だと思っている。


posted by 山科玲児 at 09:07| Comment(0) | 2016年日記

2016年07月05日

吉田所長インタビューと週刊文春の青山繁晴中傷


  福島原発事故後、ジャーナリストとして初めて現地に入った 青山繁晴氏が撮影した吉田昌郎所長とのインタビュー動画を久しぶりにみた。
【社長辞任事案】 ホラッチョ週刊文春 青山繁晴氏による吉田所長インタビュー【吉田調書捏造朝日と同罪】
https://www.youtube.com/watch?v=Sdh_F6a4-7k&spfreload=10

  もう亡くなっている吉田所長からのあの世からのメッセージのようで、なんとも感じるところがある。
吉田所長には功罪があるのは確かだが、あの危機的状況の1週間、現場にいて乗り切ったことは事実で、それ自体は消せない。お前がやれといわれてできるかといわれると少なくとも私にはできないというほかない。

ところで、この動画は週刊文春の青山繁晴氏への誹謗記事への反論として出されたものである。
参院選に候補として出馬した青山繁晴氏を誹謗中傷しようとして、

>「東電関係者の話として『吉田所長は青山氏のことも氏の仕事の内容も知らず、専門的なことは何も聞かれず、取材とは思わず、公開されるとも思ってなかった、会社から小言を言われ参ったとボヤいてた』」
と書いていたが、

  よく、ここまでウソが書けるもんだ。マスコミって金もらったり、相手が気に入らない人間なら、平気でウソで誹謗中傷するんだな。第四権力といわれるわけだ。
 だれでもよく調べれば、よくないところもあるだろうから、ちゃんと取材して暴露しろよ。取材せずにウソで固めて見出しだけで世論誘導しようとするのは、朝日新聞と同じだね。

 まあ、見出しだけ読んで脊髄反射でつられるバカが多いから、今でも通用するプロパガンタなんだろうが。


動画の1分7秒のところで、

青山氏「 いまご説明いただくとき撮影してもよいですか?」
吉田所長「どうぞどうぞ」

とはっきりいってる。
posted by 山科玲児 at 07:45| Comment(0) | 2016年日記

2016年07月04日

RAIL EUROPE


RAIL EUROPEというヨーロッパ鉄道予約サイトがあるが、
手数料が高いので、短距離だと、手数料のほうが高くなるという馬鹿げたことになる。
  マドリード⇒トレド  料金1600円+予約手数料1800円
長距離で数万円のチケットの場合は、日本語で予約できるので、まあまあなのかもしれないが、これはないわ。

posted by 山科玲児 at 20:58| Comment(0) | 2016年日記

上野 西洋美術館 ヴァニタス

OM Edward CORILIER.JPG


 上野の 西洋美術館には、オランダやフランドルの静物画蒐集は、結構良い物を集めている。
昨日、スペインの静物画について書いたので、それに関連して 上野の 西洋美術館にある、ちょっと変わったものを紹介する。 

エドワード  コリエル
   http://collection.nmwa.go.jp/P.1998-0003.html
  これは、頭蓋骨があって、ヴァニタスといわれるカテゴリーの静物画である。全てのアイテムは世の無常を訴えるものになっている。本の頁まで、旧約聖書の  伝道の書  「空の空なるかな、、、」という文章の頁になっている。
 この画家は名前を聞くと英国人にしか思えないのだが、ブレダ生まれだからオランダ人なんだろう?その後ライデンにいっている。
最近、知ったエドワード コリエルの作品に面白いものがある。
ポーランドでの特別展で展示されたもので、ある城館に所蔵されているもののようである。


また、ヴィクトリア アルバート美術館にも似たような絵がある。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Edward_Collier%27s_trompe_l%27oeil_painting.jpg

 だまし絵的なものです。

posted by 山科玲児 at 11:25| Comment(0) | 2016年日記

2016年07月03日

静物画には出来不出来がある

Miguel de Pret Cerraibo.JPG


 2016年5月30,31,6月1,3日にプラドを初めとするマドリードの美術館を巡ったとき、目玉のボスとラトゥール以外で注意したのは、17世紀の静物画である。近世西
欧の静物画の起源の一つが17世紀スペインの静物画であり、去年の5月に長崎県美術館の
企画展 プラド美術館所蔵 スペイン黄金世紀の静物画――ボデゴンの神秘
http://www.nagasaki-museum.jp/permanent/archives/28
で、数点  観賞もしていたからである。

 長崎でみた、フアン・バン・デル・アメン《果物と野菜のある静物》1625年 という作品については、あまり評価できず、ブログでは無視していた。その後、東京上野の西
洋美術館で、フアン・バン・デル・アメンの別の作品を平成26年度予算で購入したと聞いて、学会で上京したとき鑑賞したが、これもあまり感心できなかった。西洋美術館の失敗ではないか?と思ったものである。
 フアン・バン・デル・アメン  果物籠と猟鳥のある静物  収蔵作品
 http://collection.nmwa.go.jp/P.2014-0002.html

 今年(2016年)に、この画家の作品をマドリードのプラド美術館で観たら、次の作品が傑作で、隅々まで力が入ったものだった。アーティーチョークも花もガラスも皆素晴らしい。とても長崎でみたダレた作品と同じ画家の作品とは思えない。

 ところが、同じプラドのすぐ脇にかかっている同じ画家の作品
は、真ん中のレースのようなウェハース?と右の焼き菓子と砂糖漬果物は素晴らしいけれど、それ以外は、かなり遜色がある。

 保存状態や出来不出来の差がかなりある画家だと思った。そういう意味では西洋美術館購入作品も偽物とはいえないが、あまり魅力がないなあ、そういう点では失敗ではないかと思っている。


 この画家の父は、Jehan van der Hamenというフランドルの宮廷人であり1586年にマドリードに移住した人であり、母もやはりフランドルの血をひく人だという。名前がもろ
にオランダ ベルギー風だもんな。
深遠な葡萄 アントワープからマドリードへ来た画家
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/126754461.html
で推薦した、MIGUEL DE PERETもまた、アントワープ生まれの移住者だったし、スペインの静物画は独立した発生ではないのではないか? ブリューゲルやD.セーヘルスなどの
アントワープ  ブリュッセルの静物画とは関係があるような気がしている。
 このミゲル デ  プレートの基準作は、セラエボ美術館の豪華なダイニングルームの一角にひっそりと飾ってありました(上イメージ)


 一方、有名品でがっかりしたものもある。
2015年05月06日
プラド美術館所蔵 スペイン黄金世紀の静物画
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/127127397.html
の中で、ラミーレスの絵をコターンの絵の模写と推察して、かなり悪くいった憶えがある。
そのサンチェス=コターンの原画を今回見ることが出来た。
 そしたら、手前にあるひねこびたニンジンは迫真の出来であったが、それ以外の部分はラミーレス(下のリンクで参照)とたいして変わらず、コターンのほうが素晴らしいという感じは全くしなかったということに、がっかりしてしまった。
  逆にいえば、長崎に来たラミーレスの絵は結構良かったんだな、と再認識した次第である。勿論、上のフアン・バン・デル・アメンのように、コターンの傑作が他にあるのかもしれないが、これに限ってはプラドのコターン作品が群を抜いているわけではないと指摘しておきたい。なんというか、有名作家にも無名作家にも出来不出来はあるんだなあ。
RAMIREZ, Felipe(documented 1628-1631 in Toledo)
Still Life with Cardoon, Francolin, Grapes and Irises
1628
 Oil on canvas, 71 x 92 cm
 Museo del Prado, Madrid
 http://www.wga.hu/html/r/ramirez/cardoon.html


posted by 山科玲児 at 10:17| Comment(0) | 2016年日記