2017年06月13日

トランプVS科学


日経サイエンス 2017年7月号
特集:トランプVS科学
2017年5月25日 A4変型判 27.6cm×20.6cm
   トランプの激震  川合智之
  変わる世界の勢力図  滝 順一
   ネットで軽くなる「事実」の重み  長倉克枝

 は、かなり呆れました。書いてるの日経の記者ばかり。科学と関係のないことばかり書いてある。

   トランプの科学に関する発言は、とくにおかしくないと思うよ。ただし、「ワクチンの多用を非難」「NIHの予算削減」これはちょっとどうなのかなあ。あまり感心できない。なんかアーミッシュ風のキリスト教原理主義の香りがする。

   トランプVS科学 じゃなくて トランプVS科学マスコミ  なんんじゃないのかな。科学マスコミって、1970年代には「氷河期が来る」って大騒ぎしてましたよね。よく憶えておりますよ。

 つい最近も、「宇宙初期インフレーションの証拠発見」といって記事にしたけど、そのあと「間違いでした」ってのはろくに報道しなかったよな。

  「重力波 発見」はたぶん確かだと思うけど、仮に間違いでも、訂正記事があまりでない悪弊がある。読者にとっては困ったものになっている。読者を誤らせること甚だしい。「バスに乗り遅れるな」と煽って失敗したら口をぬぐって知らん顔するというのは、どの分野のマスコミでも同じだな。


posted by 山科玲児 at 08:58| Comment(0) | 日記

2017年06月12日

宮ア市定と濱田耕作

論語の新しい読み方IMG_6758.JPG



宮ア市定先生の
論語の新しい読み方
http://www.amazon.co.jp/dp/4006000227
は、最初に岩波の宣伝誌「図書」に連載されたもので、その切り抜きが上イメージである。偶然古書展で100円?で買ったので紹介しておく。
この論語の新しい読み方 はとても面白い講義で、後に宮ア版「論語」の端緒となったものだが、中にこういう話がある。

京大の濱田耕作という考古学の先生がこう言ったというのである。
 「西洋の横文字の本は読めばよくわかる。だから読んでいるとだんだん頭がよくなるような気がする。いや、読まないでも横文字の本を書棚へ並べて、それを見ているだけでも、何だか頭がよくなる気がする。ところが漢文というものは実に分からないものだ。漢文は読めば読むほどわからなくなる。それを無理にわかろうと思って読むと頭が悪くなる。その証拠には支那の学問をしている学者というのはたいてい頭が悪い。お前たちはそうなるな」

  なんか、夏目漱石「吾輩は猫である」の苦沙弥先生や 大正昭和時代の西洋崇拝を思わせる話だ。現在のように、普通に西洋人と英語で議論するのがあたりまえになっていると、是々非々でやらないととんでもないことになる。 また、横文字の本でもトンデモ本は山のようにある。これでは、上のような教えは通用しにくいだろう。


posted by 山科玲児 at 09:25| Comment(0) | 日記

2017年06月11日

ブリューゲルと細密画【増補】

Farnese Hours folio 104verso.jpgFarnese Hours folio 105rect.jpg

【増補】モルガン図書館サイトで閲覧して、増補しました。

ブリューゲルとローマの画家  クロヴィオとの関係を探っていたら、妙なサイトをみつけ、不思議なものをみつけた。
El olivo en flor Clovio

それが、上記のイメージである。装飾写本の中の挿絵で各絵の幅8−9cmぐらい、2枚続きの見開き20cm(間隙含む)ぐらいの小さなものである。

これは、風景のなかのバベルの塔だよね。

  頁全体は、、高さ17cm 幅11cm、見開きで22cm
  第104葉裏+第105葉表(104v, 105r)

Farnese Hours0.jpg

さらに、第107葉表(107rect)は、全部がもろバベルの塔の絵だ。

Farnese Hours folio 107rect.jpg


 この写本は1546年にローマでクロヴィオが完成したことになっている。このクロヴィオは、ローマにきたピーターブリューゲルを歓迎し共同制作までやっている人だ。ただ、この1546年時点では、ブリューゲルは、ベルギーにいてまだイタリアに来ていない。とすると、ブリューゲルのバベルの塔の図像はクロヴィオから得たものなんだろうか? ただ、現存のブリューゲルの版画 素描、油彩、テンペラの中で、イタリア旅行直後のバベルの塔作品はないのが、少し不審な点である。

  実のところ、最初の横長の絵をみて、クロヴィオ作の装飾写本に入っているのをみて、ブリューゲルが共同制作したものか?  と想像したのだが、年代が合わない。しかし、どうみてもフランドル風:パティニール風の絵でブリューゲルの初期といわれる「種まく人のいる風景」(米国  サンディエゴ)やいろいろいわれる「イカルスの墜落のある風景」(ブラッセル)などとも良く似ている。ただ、2番目の大きなバベルの塔はフランドルというよりはイタリア風味に寄っている。 

  そうすると、クロヴィオの工房には、ブリューゲル以前にフランドル人の細密画家がいて、それがいなくなったので、なおさらブリューゲルが歓迎されたのだろうか?? 年代さえあえばブリューゲルに押しつけたいところである。装飾写本は何十年もかかって何人もの画家によって受け継がれ制作されることも多いので、そういう抜け道もあるかもしれない。

 この装飾写本には、まだたくさんの初期ブリューゲル風の絵が入っている。1例を挙げると次のようなものである。

Farnese Hours folio 66verso.jpg


 この装飾写本は、ニューヨークのモルガン図書館にある ファルネーゼ時祷書である。装飾写本としては結構有名なものである。装飾写本 時祷書の代表的なものを集めた図録
     J. Harthan, Books  of Hours  and their Owners, 1977, Thumes  and Hudson
にものっているが、こういうフランドル風風景画が入っていたとは驚きだ。

 年代があうもので、昔から有名なのは、やはりクロヴィオが制作した豪華な装飾祈祷書写本で
ニューヨーク 公共図書館にある。
 Towneley Lectionary New  York Public Museum, Ms. 81  Fol 23
   http://exhibitions.nypl.org/threefaiths/node/41?nref=42&key=2
   この写本は高さ50cmと結構大きな本だが、この中の最期の審判の大きな1頁全面挿絵の下に小さな「嵐のなかの船団」が描いてある。これは1550年代の作品らしいので、ブリューゲルの協力か??と昔からいわれているものである。現在は否定する声が多いようだが理由はわからない。

  これらの装飾写本とブリューゲルとの関係は、
トルネイが1965年に、ブリューゲルのイタリア旅行時代の細密画を発見したと、英国発行のバーリントンマガジンで論文発表していたもののようである。

Charles de Tolnay. “Newly Discovered Miniatures by Pieter Bruegel the Elder.” Burlington Magazine  107 (1965), pp. 110-14

   このころ、トルネイはアメリカに移民していたので、ニューヨークの写本にはアクセスしやすかったのだろう。それにしても、昔の学者が、やってしまっていることは結構多いわけで、先をこされた感はある。だから、研究史ってのはチェックしておかないとね。嫉妬はともかく、トルネイのこの発見はもう一度蒸し返して新しい視点から検討してもいいのではないか??と思う。

 ボイマンスのバベルの塔は、極端なくらいの細密画である。このような指向性は、もともとブリューゲルが装飾写本画家 細密画家として出発したからではなかろうか? ファンアイクもそうだったようだ。 その逆に、大きな絵を描いた人が後年に細密画家的になるというのはちょっと考えられないからである。


 

posted by 山科玲児 at 11:40| Comment(0) | 日記

クラナーハ模写だった



bosch Last judgement Vienna2.jpg

 昨年の2つのボス展にちなんで、ボス作品のアニメーション化や二次創作はかなり行われていたようだが、
 Hieronymus Bosch - The Last Judgment, c. 1500-05 (Animated) - YouTube
 https://www.youtube.com/watch?v=W4_2eoUmcOQ
 は、もとにした絵がウイーンにある有名な絵じゃなくて、ベルリンにあるクラーナハ模写だった。

  アダムとイブや天使の顔や髪型が全然違うので直ぐ分かる。
イメージは左がウイーン、右がクラナーハ模写とされるベルリン

   Last Judgement Berlin
    Paradise Lost
    http://lucascranach.org/DE_smbGG_563c
 なんで、間違ったのかなあ?? それとも、なんらかの別の意図があるのだろうか。

posted by 山科玲児 at 08:15| Comment(0) | 日記

2017年06月10日

ブリューゲル版画のバカラオ

Breugel Prints   bacalao.jpg


ブリューゲルの版画のカタログレゾネを読んでいたら、干し鱈(バカラオ)を槌(木槌?金槌?)で割っているところをみつけました。(上イメージ)、 版画「貧しい台所」の左下部分です。

  今でもよくこのバカラオが食べられているのはスペインやポルトガルですが、この干しタラはガチガチの干物になっているので、凶器にできるくらい堅くて丈夫なものらしいです。

  これを24時間ぐらいで冷水で戻して塩抜きするものらしいですが、大きなタラでは壺にはいらないでしょうから割っているのだと思います。

現地ツアー旅行社もやってる「スペインの扉」さんが、
をご紹介されています。
Casa Labraの公式サイト
http://www.casalabra.es/en/
ここも、たぶん干し鱈を戻して使っているんだろうなあ。日本人が書いたスペイン ポルトガル料理の料理書では「甘塩タラ」を使うことを薦めています。

このバカラオ(バカリャウ(ポルトガル語)) マカオのポルトガル料理屋でも、食べられるようですね。ただ、中国人のセンスでは小さくみえるようです。

TripAdviser マカオのソルマーのタラコロッケは小さい
https://www.tripadvisor.com.tw/LocationPhotoDirectLink-g664891-d1217707-i84601556-Solmar-Macau.html


posted by 山科玲児 at 09:40| Comment(0) | 日記